最初に言っておくが、「人に好かれようと思うな、嫌われろ!自分勝手に自由に生きろ!」この本はそんな自己チュー的な考えを推奨するものではない。だからこそベストセラーなのだ。
「嫌われる勇気」の本は日本で200万部、世界で443万部も売れている。それは、この本がありきたりの自己肯定本ではなく、現代人に「心の平和をもたらす」ための本質が説かれている。からに他ならない。
「え、でも嫌われる勇気でしょ?嫌われても強く生きろってことじゃないの?」と思うだろう。違うのだ。わかりやすく言葉を付け加えるなら、自由に生き、他者と共存する幸福感を得たいなら、嫌われる勇気を持て、ということなのだ。
ちなみに、このブログではあくまでも「嫌われる勇気」の本のあらすじと感想を述べている。舞台版やドラマ版は原作とは内容が異なるので、注意してくれ。
「嫌われる勇気」本のあらすじをチェック!
この「嫌われる勇気」はアドラー心理学の日本における第一人者、岸見一郎氏という人物とフリーライターの古賀史健氏の共著となっている。アドラー心理学に関する難しい説明は一切なし。なので、内容は全く堅苦しくない。
心理学を説く哲人と愚かな若者の対話形式になっているのだが、これがいいのだ。読者が抱きそうな、というか絶対に抱く疑問を若者が哲人にどんどんぶつけていく。しかし、それをなだめるように哲人が諭していく。
ここで、「アドラーって誰?」と思った人、当然だ。この心理学者は日本では驚くほど知られていない。フロイトとユングは知っていても、アドラーは知らない人がほとんど。しかし、彼の心理学は実に日本の現代ストレス社会における生き方にマッチしていると筆者は思う。
「嫌われる勇気」本のあらすじをまとめると、以下のようになる。
- 人はいつでも変われる
- 世界はシンプルであり、人生もまたシンプル
- 他者貢献→幸福感
一つ目のポイント、「人はいつでも変われる」では、フロイトに見られる「過去=今の自分」という方程式を否定し、あらゆるトラウマや劣等感を「言い訳」ときっぱり言い切っているところがすごい。というかむしろえぐい。
リスクを冒すのが怖いから、今のままでいるための正当な理由を過去に見出そうとする。そこの君、ドキッとしたのではないか?筆者はドキドキドキッと胸を刺された。これに気づき、それを止めれば、もうあなたはその瞬間から別人ですよ、というわけだ。
哲人が「世界はシンプル」と説く理由は、今あなたが抱えている心の悩みについて冷静に分析してみると分かる。仕事、恋愛、家族、学校、何があなたを悩ませているのだろうか?そう、全て対人関係なのだ。だから、哲人は人と自分を切り離せと言う。
例えば、人はほめられようとすると、誰かのために何か行為を行おうとする。しかしほめられないとその行為をやめようと思う。これって本当に自由なの?と。